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愛しては、ならない
第26章 離したくない ②
「――」
彼が息を呑む気配がする。
私は、目を開けられないまま続けた。
「……だって……
キスも……脱がすのも……さ……触るのも……
そんなに慣れて……っ!
余裕みたいに笑うし……っ……
き……清崎……さんと……本当……は……し、したんじゃないの……?」
最後の方は涙声になってしまい、私はまたしゃくりあげてしまう。
涙を掌で拭い瞼を開けると、目の前の剛は、鮮やかに頬を染めて私を見詰めていた。
「剛さ……ん?」
びっくりする私を彼は突然抱き締めて、頬と唇、額にキスをしてから、首筋にも口付けの雨を降らせた。
「や……っ……剛さんっ……擽った……い」
「――菊野さん……それは……妬いてくれているんですか……?」
彼は、乳房に顔を埋めたまま、呟いた。
「――!」
「俺が、他の女性と経験があるのか……心配なんですか?」
「……っ」
取り繕う為の言い訳を考える間を彼は与えない。
私の手を優しく取り、王子様のように恭しくキスをして言った。
「おれは……菊野さんが初恋です……
抱き締めて、肌に触れるのも……貴女が初めてです……
俺は……貴女しか、欲しくありません」