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愛しては、ならない
第26章 離したくない ②
長い指で、涙を拭い、剛が囁く。
「また泣くんですね……
その涙は……悟志さんを思っての、ものですか」
「……っ」
「やっぱり……菊野さんは、悟志さんを愛してるんですね」
「――!?」
「俺の事なんて……子供にしか思えないですか」
傷ついた色を、その瞳に浮かべる剛に私は思わずしがみついた。
彼の身体が震えて、私を抱き締め返す。
「菊野さん……?
そんな事をされたら、今度こそ……本気にしますよ」
「……わ……私は」
彼の胸に顔を埋めながら、私の中ではまだ、自分の中で相反する思い同士が闘っている。
彼に想いを知られてしまったのに。
まだ躊躇ってしまう私は意気地無しなのだろうか?