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愛しては、ならない
第27章 絡み合う、蔦
「ダメ……っ……ダメっ」
「何が……ダメなんです……っ!
こんなに……っ」
言葉とは裏腹に、彼女が俺の背中に回す指の力が緩み、悩ましく撫でている。
彼女の中は温かく、屹立した大きな俺を包み、時には締め付けて俺の顔を歪ませる程に――
「菊野っ……菊野っ」
「剛さん……剛さ……っ」
他に、何も出てこない。
この世にどんな沢山の美しい言葉があったとしても、恋しいあなたに名を呼ばれる以上に素晴らしいことなど、無い――
俺は菊野を、菊野は俺を呼び続けた。
――お互いが、果てるその瞬間(とき)まで……