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愛しては、ならない
第4章 ボーイ・ミーツ・ガール
残された園長は、呆然とドアを眺めていたが、剛は無造作に脱ぎ捨てられたトレーナーを拾って畳んだ。
「何があったんだい?」
剛はトレーナーを畳む手を止めて、ボソリと呟いた。
「さあ……
僕にも、わかりません」
本当に、何が起こったのか分からなかった。
多分、通りすがりでもう会う事も無いような人に、何を自分はムキになって心の奥底の黒い塊をぶつけたのか――
頬にチクリと痛みを覚えたが、胸の中もむず痒かった。
畳んだ布を胸に抱くと、あの人の髪と同じ甘い香りがした。