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愛しては、ならない
第28章 罪と恋を抱き締めて

「……菊野さんは、後悔してるんですね」
「――!?」
「だから……そうやって悲しそうに泣いて……」
顔を背け、僅かに声を震わせる彼にしがみつく。
「違う……違うよ……」
「……」
そっぽを向いたままの彼の唇がきつく結ばれていたが、手を伸ばして触れると唇が柔らかくほどかれた。
私の指を彼の長い指が絡め取り、胸元へ持っていく。
触れた指先から、彼のまだ収まらない鼓動が伝わってくる。
剛は私を見詰め、低く呟いた。
「俺は……菊野さんを手に入れた、と思っていいんですか?」
「――剛さん……」

