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愛しては、ならない
第28章 罪と恋を抱き締めて

「俺を――好きだ、と言った……」
いつもはクールな彼の瞳が、恋情に濡れて溢れそうな水を湛えている。
その美しさに見惚れていると、突然強く抱き締められた。
彼の胸しか見えなくなってしまい、息苦しさに私は抗議するように胸を叩く。
気付いた彼が、私を離して切なく溜め息を吐いた。
「好きだと言われて……
何度もキスして……
身体で繋がって……
――でも、貴女を俺だけの物にする事が……出来ない……」
「……っ」
私は絶句するが、深呼吸して、彼の頬に触れてなるべく穏やかな声で語りかけた。
「ひとは決して……誰も……誰かの物にはなれないの……
愛してる事と……自分の物にする事は違うの……
剛さんは……誰の物でもないわ……
でも、貴方は、貴方自身の物よ………
剛さんは……剛さんの為に生きて……
いつか、私じゃなく、他の誰かを愛するようになるわ……だから」
自分に言い聞かせるように、目を閉じて話していたが、不意に涙が溢れた。

