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愛しては、ならない
第29章 虚しい演技を止める時


昨夜の、俺を遠ざけようかとするような言葉を、また言うのだろうか?

ようやく、想いが重なって、叶えられたのに?

もう、これきりで終わりなのか?

――これきりなんて言わせない、と俺は昨夜、彼女を啼かせながら何度も言った。

その気持は変わらない。

今でも、貴女が欲しい、と大声で叫びたいくらいなのに。

諦める、という選択肢など、俺には最初からない。

貴女が欲しい……

出来ることなら悟志から奪い、何処かへ連れ去ってしまいたい。

だが、俺は恋とセックスを覚えたての何の力もない子供だ。

いくら、彼女をベッドで翻弄することが出来ても、この眼差しで彼女の頬を鮮やかに染める事が出来ても、実際に彼女を自分の物には出来ない。

――好きなのに。

こんなに、俺も彼女もお互いを狂おしい程に求めているのに。


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