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愛しては、ならない
第30章 彼しか見えない

真歩が来ていると知って、幾分か心が軽くなる。
一人で、眠る悟志と病室で相対するのが何だか怖かった。
彼はひょっとしたら、眠っているように見えても、全てを分かっているのではないだろうか。
倒れる直前に、私の恋心を見抜いたように、昨夜の事も何処かで見ていたのではないだろうか?
そんな訳は無いのに、どうしてもその考えが離れなかった。
「……何時までもウジウジしてらんない……
真歩も居るし……切り替えて、切り替えて」
白いドアの前で、人知れずガッツポーズをし、ドアをノックした。
何秒か待つが、返事が無い。
(あれ……帰ったのかな)
私は首を傾げ、ドアを開けた。

