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愛しては、ならない
第30章 彼しか見えない

彼は、無言でベッドの上に――私の身体の横に両手を突き、刺す眼差しを向ける。
瞳の底に沈む蒼い焔は、これから始まる行為の烈しさを予感させて、蕾の中がズクリ……と疼いた。
私は思わず身を硬くするが、彼が優しい手付きで髪に触れて、少し安心する。
また昨夜のように烈しく熱く責め続けられたら、今度こそ私は本当に狂ってしまう。
正気を無くして、恋だけしか見えない愚かな女になってしまう。
彼の瞳から放たれる光は恐いほどに鋭く、不安になるのに、その掌はとてつもなく優しく髪をすいている。
思い切り愛して欲しい気持ちと、何処までも堕ちていってしまう自分を恐ろしく思う気持ちがせめぎあっていた。
「俺を――避けていましたね」
「……!」
低い声色が、私の全身を震わせた。

