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愛しては、ならない
第30章 彼しか見えない

彼は、微かに首筋に息を吹き掛けてきた。
ピクン、とまた身体を震わす私を小さく笑い、先程の声よりも更に低く囁きかけた。
「俺が学校にいる間……何を考えていたか分かりますか」
「……?」
キョトンと見詰める私に、彼は首を横に振り悲しげに笑った。
「菊野さんに……拒まれたらどうしようかと、そればかり考えてました」
「……」
私は昼間、彼との関係をどうやって修正したら良いのか、と思いやんでいたので、言葉に詰まってしまう。
彼は、そんな私の髪を指で撫でていたが、指が瞬く間に太股まで移動して、強く掌で掴んで拡げた。
「剛さん――何を……っ」
「この期に及んで……まだ迷うんですか?
俺に溺れて下さい――」

