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愛しては、ならない
第30章 彼しか見えない
一回り以上年下の男の子に笑われて馬鹿ですね、と言われて、恥ずかしさと決まり悪さに俯く私の頭を、彼の掌が包み込み優しく叩く。
心地好いくすぐったさに寒気を覚え、ぶるりと震えたら、彼が毛布を頭からかけてくれた。
目と目がぶつかり、二人の間に火花が散る。
半端に満たされない欲が、彼の中に燻っているのがその瞳の色で分かってしまった。
彼のケガが気になって、腕を見ようとした時に、毛布を剥がされて再び組み敷かれる。
「……これで終わりだと、安心してましたか?」
驚き、目を見張る私に彼は薄く笑った。
「剛さん……
う、腕は……」
「たいした事はないですよ。
血も止まりました」
「でも……っ」
「俺は……まだ足りない……菊野も、そうなんだろう?」
「……!!」
私の胸に顔を埋めて、舌を這わせながら彼は言う。