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愛しては、ならない
第31章 企み


今朝、玄関から俺を送り出す彼女の瞳が赤かったのは、寝不足と疲れからなのか、それとも俺が居ないベッドで寂しく涙を流した為なのか、

と想像を巡らせて、昼間の授業を遣り過ごした。

授業はさっぱり聞いていないが、真歩の家庭教師のお陰で暫くはその状態であっても学校の勉強には難なく付いていけそうだ。

菊野とのセックスに夢中になって、その結果、成績を落とす様な事があってはならない。

だが、少しの間は彼女の事で頭が一杯だろう。

ついこの間菊野への想いを自覚してから既にそうだったのだが、今の状態の比較にはならない。

彼女を知ってしまった。

そのたおやかで淫らな身体も、頼りなく揺れる心も。

もっともっと、菊野を抱き締めたい。

俺だけの物にしたい。

例えそれが無理だとしても、走り出した気持ちと身体の欲を抑えるなど、不可能に思えた。
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