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愛しては、ならない
第31章 企み
そんな訳で、俺達は三人でカフェに来ているのだが……
清崎に話を切り出すのは今日は出来そうになかった。
メールや電話ではなく、直接話をするのがせめてもの誠意なのだろう。
俺は、女の子と交際するという事は初めてだったが、男女の事でも、友達付き合いでも最低限のルールがある筈だ。
俺はろくでもない男なのかも知れないが、清崎には自分を偽ったり誤魔化したり、また彼女を利用などしたくなかった。
森本はソイラテを一口啜り、俺を上目遣いで見ながら小声で言った。
「てかさ、それ、どっかの女にやられた?」
「――!」
危うくカフェラテのカップを落としそうになるが、俺は何でもない振りをしながら肩を竦める。
「そんな狂暴な女はこっちからお断りさ……
そんな訳ないだろ。猫の仕業さ」
「もう!森本君ったら変な事ばかり!
剛君……猫に咬まれたなら尚更病院へ行かなくちゃ」
清崎が、本気で心配している。
俺は安心させる様に出任せを言った。
「そうだな……じゃあ、今から行って来るか。
じゃあ、悪いが俺はこれで――」
清崎はともかくとして、森本とこれ以上顔を突き合わせて居るのが面倒になった俺は、それを口実に帰ろうと席を立つが、
通りに面するカフェの窓越しに、菊野の姿を見つけ、目が釘付けになる。