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愛しては、ならない
第31章 企み
「こら~!往来で、親子喧嘩しない!君ら、かなり注目浴びてるよ?」
森本が、軽やかな笑みを浮かべて居る。
俺の心臓が凍った。
――聞かれていた、か?
菊野が見知らぬ男に声を掛けられているのを見て、自制心を無くしてしまっていた……
なんてざまだ……と思いながら、俺は苦く唇を噛み菊野を離すが、彼女の瞳からポロリ、と涙が溢れるのを見て心底後悔した。
「あああ、菊野さん、大丈夫すか~?
すいませんね、剛は反抗期真っ盛りなんで!!俺の育て方が間違っていたんです!!
申し訳ありませんね~!!
俺がこいつの尻をぶったたいて根性を修正してやりますからっ!!
だから泣かないで下さい――!!」
森本がペラペラと調子よく適当に喋るのが堪に触り、俺はつい奴を睨み付けるが、菊野は微かに笑った。
「……ご免なさいね……変なところを見せて……」
「いいんですよ!!
剛の事で困ったらいつでも俺に言って来てく下さい!!
何せ、年頃の男の子の扱い、やりにくいでしょ~?
よく分かりますよ~菊野さんの大変さが~!!」
「ふふ……森本君たら……」
森本の軽口に吹き出す彼女に、俺は猛烈に腹を立てていた。
拳を握り締め、何とか自制しようと深呼吸した時、清崎がいつの間にか隣に居ることに気付く。