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愛しては、ならない
第31章 企み
俺は思わず息を詰め、彼女の方を見た。
彼女は清純な笑みを浮かべて、落ちた紙袋を拾い上げると俺を咎める様に唇を尖らせる。
「ダメじゃない、こんな乱暴な事をしちゃ……ね?」
「――」
彼女の瞳の中の底知れない輝きに、俺は息を呑んだ。
何を思っているのか、全く読めない。
いつもの大人しく可愛らしい笑顔を纏ってはいたが、今の彼女の表情の奥に何かが潜んでいる様に見えるのは気のせいだろうか?
俺が、疚しさを感じているせいでそう思えるだけなのだろうか?
菊野は、森本に何かを言われて笑い転げていた。
あのまま泣かれてしまうより、笑ってくれている方がいい――と安堵する反面、森本の言葉に笑う彼女に嫉妬する。
――俺は、どうしようもない馬鹿に成り下がっている。
頭ではわかっていても、独占欲と嫉妬で自分の気持ちをコントロール出来ない……