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愛しては、ならない
第31章 企み
「菊野さん、今から剛君を病院に連れて行きます」
「清崎――?」
きっぱりと言う彼女に、俺は何故か不安を覚えた。
菊野は、俺の腕の傷の事がすぐに思い出されたらしく、頷いた。
「そうね……
その方がいいわね……清崎さん、お願い出来るかしら……?」
「菊野さん~その間、俺とデートしましょうよ!
親子喧嘩の後でムシャクシャしてません?
ここはパーっと」
「――!」
森本の腕を掴もうとしたその時、清崎が素早く俺の腕を取り手を繋いだ。
「剛君、行こう」
「終わったらおうちにいらっしゃい?
昨日焼いたクッキーが沢山あるの……」
菊野が呼び掛けると、清崎は完璧な可憐な笑みを返し頭を下げた。