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愛しては、ならない
第31章 企み
彼女の指が、俺の掌の中で熱を放ち、そのひた向きな瞳は胸をざわめかせる。
真っ直ぐに見返していたら引き込まれそうで、思わず目を逸らしたくなったが、その前に彼女の唇が素早く俺の唇を塞いでいた。
フローラル系のコロンが鼻腔を擽り、柔らかい唇の感触が一瞬で俺の欲を呼び覚ましてしまう。
彼女は、ぎこちない動きで舌を割り入れて来て、俺の全身がビクリと跳ねてしまった。
小さな手が俺の背中をなぞり、腰へと移動する。
慣れないながらも必死に俺を導こうとする彼女に、俺は烈しく興奮を覚えてしまった。
だが、菊野の泣き顔が脳裏を掠め、歯を食い縛り堪える。
――駄目だ……!俺は……っ……
菊野の物なんだ……!
「――っ……清……さ……
やめ……っ」
甘く痺れた身体は、自分の意思で動かすのが困難だった。
清崎をはね除けようとするのに、全身が脈打ち、痛いほどに欲情してしまっている。