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愛しては、ならない
第33章 壊れるほどに



剛は、私の顎に手を掛けて上を向かせた。

彼の切れ長の瞳の色がいつもにまして綺麗な光を放っている。



「何か考えていますね……」


探る様に、私の目の中の感情を読み取ろうとする剛の首に腕を回し、私から口付けを仕掛けた。

彼の身体がビクリと震え、早くも私のキスに応えてくる。

舌を割り込ませて掻き回して、私を蕩けさせながら彼も溜め息を吐く。

彼の若い身体と心は誘惑に直ぐに反応してしまう。

心の中を追究されたくない私には、そんな彼の反応が有り難くて、そして可愛くて仕方がなかった。



――何も考えないで、私を抱いて……

心も身体も、壊されてしまってもいい……貴方になら……――




私は、長い長いキスをして唇を離し、彼を真っ直ぐに見詰めた。



「剛さんのベッドで……抱いて」



そう言うと、彼の腕が直ぐ様軽々と私を抱き上げ、部屋へと連れていく。

彼の胸に頭をもたせかけ、私は瞼を閉じた。




今夜、今の私の全部を、貴方に渡すから――

剛さん……どうか、許して……

明日には貴方との恋を捨てる私を、憎んでもいいから……

彼がベッドに私を沈めるその時、愛している、と告げよう。

恋人でいれる最期の夜なのだから――




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