この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第34章 恋の短夜(みじかよ)
「……綺麗だ」
唇を離して、荒い息を吐き出しながら思わず呟くと、彼女はあっと驚いた顔をして腕で裸の胸を隠す。
彼女のブラウスとブラジャーは、腰の位置まで落ちていた。
軽く俺を睨み、頬を真っ赤に染めて恨めしそうに呟く。
「……私が……先に剛さんを脱がすつもりだったのに……」
思わぬ言葉に、思わず聞き返す。
「え?……今なんて」
「だ……だから……っ」
口ごもり、ますます赤くなる彼女は、ふと何かを決心した様に口を結ぶと、突然俺のベルトに手を掛けて、外し始めた。
「き……菊野さん」
狼狽えたような情けない声が自分の口から出てしまい、俺は舌打ちしたくなる。
今夜は彼女をとことん征服してやるつもりでいたのに、これでは立場が逆転してしまうじゃないか――