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愛しては、ならない
第34章 恋の短夜(みじかよ)
「本当よ……」
彼女は、どこまでも柔らかい笑顔で答え、俺の頬に触れる。
瞬間、胸の中にとぐろを巻いていた嫉妬が引き潮の如く消え去っていくのを感じた。
――そんな事、どうでもいい……
目の前で俺をひたむきに見詰めている菊野は、今、俺だけを想っているのだ。
俺だけの為にその美しい身体を晒し、俺だけを絶頂に導く為にその小さな唇と愛らしい舌で……
今だけは、貴方は俺だけの物だ。
その髪も、染まる頬も、潤む瞳も、吸い付くような肌も……
その甘い声も、俺だけに聴かせる為にあるんだろう?
「菊野……脚を開いて」
俺がそう言った瞬間、彼女は一際鮮やかに頬を紅くした。