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愛しては、ならない
第35章 Love is……
静かな寝息を立てて隣で眠る剛を見詰めていた私だが、ふと時計を見ると、もうすぐ三時になろうとしていた。
彼の凛々しい眉、通った鼻筋、長い睫毛、形のよい唇に、きれいな輪郭。
いつもなら、目が合うと恥ずかしいから、こんな風に出来ない。
けれど、こうして彼が眠っている時ならば、誰に憚る事もなく心行くまでその大好きな顔を見ていられる。
ジワリ、と涙がまた目の奥から滲む。一体、いつになったら涙が止まるのだろうか。
「……これじゃ、瞼が腫れちゃう」
指で目の廻りをマッサージするように触れるが、次から次へと涙が溢れ、嗚咽を漏らしてしまう。
「ダメ……泣き声で……剛さんが起きちゃう」
無理矢理に笑顔を作ってみるが、やはり涙を止める事は出来なかった。
(……こんなんじゃ、いけない……
明日からは……私は彼の母親に戻るんだから……
もう、彼に揺れたり、ときめいたりしたらいけないんだから――)