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愛しては、ならない
第35章 Love is…… 


彼と思い切り抱き合い、果てて、幸せだった。

愛してる、と伝えられて幸せだった。

今夜の思い出を胸に、これからは彼への恋を押し殺して生きて行かなければならない。

それが彼の為なのだから。

彼は私を憎むだろう。

それでいい。私の事を憎んで、軽蔑して……

そしていつか、彼が本当に愛せる人と巡り逢えたら……



「……っ」


身体の奥から、吐き気にも似た強烈な嗚咽が襲ってきた。

私は眠る彼に背を向け、身体を折り口を掌で塞いで込み上げる苦しさに耐えた。


(馬鹿みたい……

今夜で思い切るつもりなら、彼が眠ったら直ぐにこの部屋から出ていけば良かったのよ……

それが出来ずに、ずっと彼を見詰めて……

もう少しだけ、あと少しだけ、剛さんを見詰めていたくて……

どうしても……ここから動けなくて……)



「う……っ……」


堪えきれない嗚咽が口から漏れてしまう。



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