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愛しては、ならない
第35章 Love is……
彼をそっとベッドへ寝かせて、髪を撫でながらもう一度頬にキスすると、彼の瞼が重くなりつつあるのか、何度か瞬きを繰り返した。
肩まで毛布をかけてやり、小さな子供を寝かし付ける様に胸をそっと指で叩く。
祐樹によく歌ってあげた子守唄を囁く様な小さな声で歌ってみた。
剛は、少し頬を緩めてクスリと笑ったが、小さな欠伸をひとつすると、瞼を閉じた。
「……菊野さん……の声……かわ……いですね……」
「ふふ……そうかな?」
その呟きに返事を返した時には、剛は眠りに落ちていた。
口元は幸福そうに僅かに上がり、その寝顔は祐樹の幼い頃に瓜二つだった。
真っ直ぐな髪に絡ませていた指を静かに離し立ち上がり、彼の姿を見詰めながら私はドアを少しずつ閉じていく。
「お休みなさい……
私の……あなた……」
カチャリと、乾いたドアを閉める音は、彼と私を完全に隔てた証拠となった。