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愛しては、ならない
第5章 戸惑いの始まり
悟志は、私の表情からそれを敏感に察し、ニヤリとすると指を秘蕾へと滑らせ弄び始めた。
跳ねる魚の様に反応する若妻を熱く見つめると、上擦る声で小さく叫ぶ。
「愛してる……菊野……
可愛いよ……」
"アイシテル"
その言葉は、快感に苛まれる私の胸の中まで届く事は無い。
猛った悟志に激しく突き上げられながら、私は自問自答していた。
"アイシテル"
……て、こういう事なの……?
激しく獣みたいに、女の身体を突き刺すのが……愛してるって言う事?
「菊野……っ……菊野っ」
「あっ……ああっ……んっ」
烈しく打ち付けられながら、本能だけが彼の獣を受け入れていた。
逞しい背中に爪を立て甘く叫びながら、心の中では悲鳴を上げる。
(――愛してる、て何……?
私には……分からない……
身体だけが……悦んでいるけど……
心は何も感じない……)
「――菊野っ」
悟志が真上から再奥に沈み込んだ刹那、私は快感の果てまで達した。
白く靄がかかる意識の中、剛の悲しげな眼差しが見えた気がした。
――そして、同時に不思議な感情が自分の中に芽生えた様な気がしたが、それが何なのかは、わからなかった。