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愛しては、ならない
第37章 愛憎②



「剛の事がそんなにいいんですか……っ」



森本は、唇を歪めて私の顎を掴み、噛みつくようなキスをした。

逃れる事も出来ず、彼の舌と唇で烈しく咥内を犯されて、気持ちに反して身体が甘く反応し意識が飛んでしまいそうになる。

部屋の壁に掛けてある時計の秒針がやけにうるさく響く。

この時間は一体何時(いつ)まで続くのだろう?

彼が満足するその時まで?

私はこの身体を貪られて、どうなってしまうの?

彼とそんな事をした後で、私は家で剛にどんな顔をして接すればいいの?

長い長いキスをようやく彼が止めて、思いがけず優しい触れかたで私の頬を撫でた。



「――ぐっ……」



突然、喉の奥から苦いものが込み上げてきて、私は身体を折り咳き込んだ。

止めようとしても止まらない苦しさと自分への怒りで涙が頬に流れる。

身体中で咳き込み、肋に痛みが走り、呼吸が困難になる。




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