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愛しては、ならない
第37章 愛憎②
「……っ」
彼はビクン、と身体を大きく震わせると、突然私から手を離して立ち上がり、声にならない叫びをあげながら壁に自分の頭を打ち付けた。
「きゃあっ……」
何が起こったか分からず、私は口を覆って壁に頭をもたせかけたまま動かない彼の背中を見守る。
その肩が大きく動き、背を向けたままで吐き捨てるように言葉を放った。
「帰れ――出ていけ!」
「えっ……」
思いがけない展開に付いていけず、私はまごまごしてしまうが、振り向いた彼が私のバッグを投げつけてきて怒鳴る。
「聞こえないのか……出ていけ!!」
「……で……でも」
彼の鋭い瞳が前髪から覗き、その迫力に私は押し黙った。
「出ていかないなら……本当にメチャメチャに犯すからな」
「……っ……」
床に転がるバッグを掴み、胸元をかき集めて這うようにリビングから逃げ出して玄関のドアを開け外に出て、エレベーターのボタンを震える指で押してその場にへたりこんでしまった。