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愛しては、ならない
第6章 遊園地での賭け
「よ――し!」
あれから二週間。
すっかり体調も元通りになった私は、祐樹を連れ、剛の居る施設に向かう電車に揺られ、気合いを入れて拳を突き出すと、目の前に居たサラリーマンの顎に拳をヒットさせてしまった。
「いっ……」
顎を押さえて、非難の眼差しを向けてくるサラリーマンに私は平謝りで何度も頭を下げる。
「ご……ごめんなさい!本当にごめんなさい!」
「あなたねえ……
これだけ人が密集してて、そういう動きをしたらどうなるか、分からないんですか!?」
サラリーマンは顎を擦りながら睨んだ。
「そ……そうですよね……本当に……ごめんなさいっ」
周りの客たちが白い目で見ている中、私は泣きそうになりながら頭を下げる。
「お兄さん、大丈夫?」
隣に座っている祐樹が、男性に話しかけ、私はぎょっとした。