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愛しては、ならない
第39章 愛憎④
剛の家まであと10メートル程、という所まで来た時、向こうから高い声が聞こえ、俯き単語帳を見ていた彼は顔を上げた。
高い声の主は、小柄な優しげな女性だった。
買い物帰りだろうか、スーパーの袋を手に提げて片手を大きく振っている。
『剛さん、おかえりなさい――』
彼女はスキップするように足を踏み出すが、バランスを崩しよろめく。
その時、後方から黒いセダンカーがクラクションを鳴らし猛スピードで走ってきた。
――危ない……
清崎も森本も、彼女が跳ねられてしまう、と思い目を瞑ってしまった。