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愛しては、ならない
第39章 愛憎④
――もう、俺にしとけよ――
その言葉を胸に燻らせ、清崎の頬を両手で包み口付けようと顔を近付けるが、彼女はふい、と横を向いた。
『――晴香?』
行き場を失った胸の熱をどうして良いか分からず、彼は彼女の横顔を見詰めた。
彼女は何秒か置いて、小さく呟く。
『……剛くん……には、言わないで……』
『――』
『お願い……』
自分は失恋のクッション役に過ぎない、と分かっていなかった訳ではない。
だが、先程まで腕の中で彼女が呼んでいたのは彼の名前だった。
彼の愛撫に、キスに応え、背にしがみつき、切ない声で「彰が好き」
と言ったではないか。