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愛しては、ならない
第39章 愛憎④


彼女はシーツで身体を覆い、彼から目を逸らしたままで言いにくそうに俯くが、小さな声で、だがキッパリと言う。



『私……剛君を諦められない』


『……っ』



彼は軽く衝撃を受けてよろめきそうになるが、深呼吸をして髪を指でかき上げ、得意の甘い笑顔を作ってみせた。

目の奥が焼けるように熱く痛かったが、密かに歯を食い縛り堪える。

分かっていたじゃないか。

女は裏切るんだ。

いとも簡単に。

他の男を想いながら、別の男に身体を開く事が出来るんだ。

かつての彼の想い人の面影が脳裏を掠め、背中にブルリと寒気が走る。

絶句した彼を怪訝な表情で清崎が見ていたが、彼は突然仰け反って笑いだした。


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