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私の執事さま
第1章 はじまり


子供がするような触れるだけのキスしか出来ず、咲夜のように上手く出来ないことが情けない。

それでも勇気を出して、また唇を重ねると。

ドキドキとしながら顔を離す。




「お利口ですね」

「ん……」




ふわりと頭を枕に乗せた後、咲夜から優しく頭を撫でられると、更に胸が高鳴った。

私を見下ろす咲夜の顔に、咲夜の首に腕を回したままウットリと見惚れる。

そして欲望が暴れる。


もっと咲夜に触れていたい。咲夜から触って欲しい。

もっと。

もっと。

ーーーーキスしたい。




「咲夜……もっと……」

「朝食の準備が出来ています」

「……もう……行くの?」




突然ベッドから降りた咲夜を不思議そうに見つめる。

そんな私に無表情でさらりと質問する咲夜。




「まだ何か?」




その言葉に心が押し潰されそう。





「っ……何も……ないわ……。早く出て行って」




本当はまだ一緒にいて欲しいのに。

私は腰を起こし、俯きがちにそう答える。




「では、着替えを済ませたら下へ降りてきてください、お嬢様」




離れていく足音が冷酷に私の胸を更に傷つけているとも知らず、咲夜はそのまま部屋から出ていった。
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