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私の執事さま
第1章 はじまり
……終わりにしましょう?
「どうして……」
切なげに呟きながら、頭の中には色んな感情が沸き上がる。
咲夜は私では不服なの……?
この私がこんなにもいやらしい姿を見せ、頼んでるというのに。
余裕そうに微笑む咲夜とは反対に、恥ずかしくなる程惨めだわ……。
「お嬢様の婚約を阻止する代わりに、私の言いなりになって貰う。そう契約したでしょう?」
「……っ。したけど……」
「けど何です? まだ物足りないんですか?」
「物足りないんじゃなくて……私は咲夜が……」
床にぺたりと座り込みながら、私は小さく呟く。
……好きなんて、言えない。
私が生まれた頃から私の専属執事だった咲夜に、今更気持ちを伝えたところで咲夜と結ばれる事があり得ないという事は分かり切っている。
私が将来結婚するのは、父親の会社に有益な御曹司やその跡取り。
咲夜との契約で婚約を阻止して貰ったが、また新しい誰かとお見合いさせられる事も……分かっているのに。
「お嬢様、……ではおやすみなさい」
一度お辞儀し、咲夜が部屋から出て行く。
その光景に私は下唇を噛んだ。