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刑事とJK
第99章 根城の裏で笑う者~前編~
「最初は、何度も遠藤刑事を呼んだんです」
そう言いながら、嘉山は扉をノックした。
「でも、返事は無かったんだな」
「はい。
ですから引き返そうとしたんですが、そのとき中から音が聞こえたんです」
「"ごとん"だったか…」
嘉山は頷き、部屋に入って来た。
「入ると部屋は真っ暗で、スイッチを探して電気をつけました」
一旦消し、再び電気をつける。
「明るくなると、デスクの後ろから足が見えたんです。
ここからは確か…膝から下が見えてたと思います」
「だろうな、遺体があった場所がちょうどその辺りだ」
「はい、で…」
嘉山はデスクの横を通り過ぎ、遺体のあった位置の手前まで足を進めた。
「ここまで来て、ようやく分かったんです。
遠藤刑事が頭から血を流して倒れていることに…」
「その時は仰向けだった。
だから顔がはっきり見え、"遠藤さんが"倒れているって確信したんだな?」
「はい…」
「そしてすぐに助けを求めた…」
斉藤は扉の前まで足を進め、嘉山の方を振り返った。
「この時、おめぇは一切遠藤さんに触れてなかったんだな?」
「この時だけじゃないです。
一度も触れてません」
嘉山は廊下に出ると、顔だけを覗かせた。
「どうしましょう、再現するなら藪内刑事も一緒の方がいいんじゃないですか?」
「…ああ、そうだな」
斉藤の返事に、嘉山はニッコリと笑った。
――――