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刑事とJK
第99章 根城の裏で笑う者~前編~


――――――



斉藤と嘉山が再び現場に戻ってくると、一人の男が立っていた。




「?」




男は斉藤たちの気配に気づくと、振り向いて笑顔を向ける。





「どうも」




「平尾さんじゃないっすか、どうしたんすか?」




斉藤が尋ねると、平尾という男は視線を落とした。




「いや…何でもないよ。
遠藤が死んで…寂しくなったなって思って」




持ち上がった顔は悲しんでいるのかと思いきや、どこか笑っているように見えた。



平尾は続いて、嘉山に目を移す。





「…君が第一発見者の嘉山君だっけ?」



「…はい」




「…そうかい」




平尾は整った顔立ちをしていた。


まだ年も若いというのに、実力も認められるような一人前の刑事であった。




それゆえ、彼の言葉はどこかに重みがある。





「何でも、遺体を発見したあと逃げたそうじゃないか」



「…っ」




馬鹿にされた…と言うよりかは、呆れられた。



平尾の目がそう訴えていたのだ。





「情けないこと、この上ないね」





嘉山はギュッと下唇を噛んだ。


ありありと見せる悔しさに、平尾は微笑を漏らす。





「何だそれ、いじけてる時間があったらちゃんと仕事したら?」



「ぼ…僕は…」




「まだ半人前だからなんて言い訳は吐くなよ?
殴ってやりなくなるくらい面倒だ」




「平尾さん、でもこいつは確かに半人前だ。
あんまり言わねぇでやってください」




斉藤が間に割り込むと、平尾は今度は苦笑した。




「斉藤が言うなら、仕方ないね」




「…すんません」




「いいや、こっちこそ捜査の邪魔して悪かったよ」





斉藤の肩を叩き、平尾は部屋を出ていく。




嘉山はその背中を、じっと見ていた。







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