この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
刑事とJK
第15章 海物語
オレ…何聞いてんだ…?
ゆうひは下を向いたまま、
なかなか上げようとしない
その髪の下から覗く細い首もとを見ていると、
吸い込まれてしまいそうで…
斉藤はゆうひの首の後ろに触れた
『ひゃっ!!』
「あ、わりぃ…」
慌てて手をしまう
『…斉藤にとっては、どうなの?
好きな人って…どういう人を言うの?』
聞き返された
そうなる気はしていたが、
返答を考えていなかった
「オレは…よくわかんねぇ…」
『え…』
「冗談じゃねぇんだ、
なんか…ほんとよくわかんねぇ…」
斉藤は海を見ながら続けた
「シゲとか藤野とか、いろんなやつに聞いたよ。
好きってどんな気持ちなんだ?って」
『そしたら?』
「側にいたらドキドキするだとか、
一緒にいると落ち着くだとか…
ただキスしたり、ヤったりしたいだけとか言うやつもいた…。
お前みたいにずっと一緒にいたい、って言うやつもいたな…」
『それで、斉藤はどう思ったの…?』
「なるほどなって思った。
みんなの考えをまとめたものを、
オレにとっての"人を好きな気持ち"ってしてみた…」
『じゃあ、よくわかんないことないじゃん』
「わかんねぇよ、
これはオレ自身が定義した"気持ち"じゃねぇんだぞ!?」
自分の方を向く斉藤を、
ゆうひは見た
その目は真剣だった
斉藤…
好きな人に抱く感情が
どういうものなのか整理できないんだ…
他人から見たら、
そんなのしょうもないことに思えるかもしれないけど
本人は真剣に悩んでいるんだ…