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刑事とJK
第27章 父の壁
斉藤がこの家と縁を切った理由
それは自由が欲しかったからだった
斉藤自身も子供の頃はあれしろこれしろと、
たくさんのことを身につけさせられてきた
柔道、空手、剣道、学問、茶の湯まで教えられた
だがそれは中学までの話
この屋敷は斉藤を捕らえておくための檻だった
父親はそこの看守
押し付けられたままの自分が
悔しくて、
悲しくて、
情けなくて…
とうとう15の時に
啖呵を切って家を飛び出したのだった
そして、家を出た後が苦しかった
今まで何をしなくても目の前に出された料理
何もしなくても出された寝床
外は何も無かった
何もかもを自分ひとりでなんとかした
必死にバイト先を探し、
必死に働いたのだった
そしてトントンと時が過ぎ、今に至る…
斉藤は屋敷を出て、
広い庭を通り抜けた
そこで光子と真理子が待っていた
「正貴、ああ、どうでした?
千花さんは…」
光子が尋ねた
「きれいだった。
けど、そんだけだ」
斉藤は通り過ぎようとした
しかし、光子は斉藤の手を取る
「いい子だったでしょう?
きっと正貴のいいお嫁さんになると思うの」
「お袋、オレは花宝院のお嬢と結婚だなんて
ぜってぇしねぇからな」
「正貴…!!
それじゃ、斉藤家はどうなってしまうのですか!?」
「後継ぎの話か?
それならこいつがいるじゃねぇか」
斉藤は真理子の肩をポンと叩いた
「ま、真理子は女の子よ!?
後を継ぐのは男でないとダメなんですよ…!?」
「…」
「いちいち考え方が古くせぇんだよ、この家は」
斉藤は光子の手を払って
車の方に向かった
中に乗り込み、エンジンをかける
コンコンと窓を叩く音がしたので、
見ると、真理子だった
窓を開ける
「どうした?」
「あんたのそういうとこ、大好き。
ゆうひちゃんと仲良くね♪」
「るっせぇな…///」
斉藤は窓を閉め、その場を出発した