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刑事とJK
第36章 村上
斉藤は地面に膝と手をついた
「すまなかった…」
頭を床にこすりつけるようにする
そんな突然の斉藤の行為に
飛鳥は慌てた
「な、何よいきなり…!!」
「村上を…死なせたのはオレだ…」
「…」
「あの時お前を、無理矢理にでも連れ出してたら…
お前は今頃生きてたんだ…」
「"お前"って…
あたしは弥生じゃなくて飛鳥なんだけど…」
「教えてくれよ…
何でオレに、犯人を追わせたんだよ…?
お前が行ったって
良かったんじゃねぇのかよ…?」
斉藤と飛鳥の会話は
全く成り立っていなかったし
斉藤が何のことを言っているのか
イマイチはっきりしなかった
けれどその言葉には、
弥生と飛鳥の両方に対する謝罪の念が込められていた
「頼むから…教えてくれよ…」
その言葉に、飛鳥は口を開いた
「自分で考えな」
斉藤は顔を上げた
そこにはニッコリ微笑む村上の姿
「…相変わらず、厳しいんだなぁ」
斉藤は微笑を漏らした
「あたしは、弥生じゃないからね」
単発なその言葉に
斉藤は目を大きくした
「…あ」
「あんた、誰としゃべってるつもりだったの?」
「…わかんねぇ」
斉藤は人差し指で頬を掻いた
「…何があったかはよく知らないけど…
あんたが弥生を死なせたとは思えない」
「…」
「弥生が犠牲になってまで守ろうとしたあんたなら…
きっと、それだけ弥生を思ってくれてたんでしょ…?」
語尾が突然濁ったかと思うと
飛鳥はつうっと涙を流した
「死んじゃったことは、
すごく悲しかった…でも…
弥生を大事にしてくれて…ありがとう…」
斉藤は顔を振った
「オレは何にも…してねぇよ…」