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気の毒な人
第1章 気の毒な人
気の毒な人は。
自分の妹を正しく可愛がる事の出来なかった兄は。
自分の息子たち・・・いいや。
だいきに、どんなふうに「自分よりちっさいイトコを可愛がったるんやで」と教えるのだろう。
大きくため息をつきながら彼らを見送った廊下から戻り、
「あー、焦った。お前の兄貴、おもったよりふつーの人やん。フクザツな気分やー。つうかさ、この札見て思ってんけど、なんでこの子B型なん?俺A型でお前O型やろ?間違ってんで、なぁ?」
なんて訝しげに首をひねる夫の前で、何も知らずに赤ん坊が眠っていた。
廊下の向こうへ消えていった背中へ、心の中で呟く。
私の夫は、あんたの好きなあのアニメでいうところの、テツみたいな男やで。
せやから気が合ったんかもよ。と。
なんて母の胸中を知るはずもなく。
すやすやと。
気持ちよさそうに。
【おしまい】
自分の妹を正しく可愛がる事の出来なかった兄は。
自分の息子たち・・・いいや。
だいきに、どんなふうに「自分よりちっさいイトコを可愛がったるんやで」と教えるのだろう。
大きくため息をつきながら彼らを見送った廊下から戻り、
「あー、焦った。お前の兄貴、おもったよりふつーの人やん。フクザツな気分やー。つうかさ、この札見て思ってんけど、なんでこの子B型なん?俺A型でお前O型やろ?間違ってんで、なぁ?」
なんて訝しげに首をひねる夫の前で、何も知らずに赤ん坊が眠っていた。
廊下の向こうへ消えていった背中へ、心の中で呟く。
私の夫は、あんたの好きなあのアニメでいうところの、テツみたいな男やで。
せやから気が合ったんかもよ。と。
なんて母の胸中を知るはずもなく。
すやすやと。
気持ちよさそうに。
【おしまい】