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マイバトラー
第2章 パーティー
見慣れた黒のスーツからシルバーの細かいストライプが入ったファションスーツに身を包んで、あたしのドレスに合わせたようにタイも光沢のある深紅に変えられていた。
いつもなら下ろしたままに流されている前髪をオールバックにしていて。
大きく変化したわけではないけど、たったそれだけで花のかんばせを背負ったようにいつも以上に華やかさを増している。
「王子様みたい」
まさにそれ。本物の王子様なんて見たことないけど、実写にしたらきっとこんな感じ。
「あまりそのような可愛らしいことを言うものではないですよ」
「え?……っ、んんっ!」
彼の姿に見惚れていると、背中を抱かれ顎を掴まれると突然にキスされる。
「な、にするのよいきなり…っ!」
呼吸を整えながら文句を言っても、村上はいつものよう涼しい顔をしている。
「私を誘う貴女がいけないんですよ」
「誘ってなんかない!」
「無自覚と言うのも考えものですね。それにしても、本当によくお似合いですね。いつもに増してお美しい」
「っ…!もう!行くわよ!」
ほんとに!調子がいいんだから!
勝手にキスしたことを怒っていても、ちょっと褒められただけでにやけちゃう自分がムカつく!
村上はあたしの扱いが上手い。