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マイバトラー
第2章 パーティー
こっちが高崎工業の社長で、一緒にいるのが息子の…。なんだっけ?
「ご子息の光一さんです」
あたしにしか聞こえない声で教えてくれる。
「光一さんもお久しぶりですね」
自分だって違う人と話しているくせに、きちんとフォローをしてくれる。
何も言ってないのに聞いてないのに、あたしが何を思っているのか分かっているような完璧なフォロー。
失礼がないように出来るだけ顔と名前は忘れないようにしているつもりだけど。1、2回しか会ったことがない人を覚えるのは中々難しい。
優秀な執事は、記憶力までもいいらしい。
その後にパパとママがあたし達の所へようやく来てくれたものも、更にまた挨拶をさせられ30分もすれば正直くたくただった。
「お飲み物をお持ちいたしますので、どうぞこちらへ」
あたしの腰に手を回し椅子までエスコートする村上に変な感じがする。
いつもと違う風貌なのも手伝って、やけにドキドキしてしまうし。なんか落ち着かない。
椅子に座るとすぐにオレンジジュースを持って来てくれて、それを一気に飲み干す。自分でも驚くくらい喉も渇いてた。
「お疲れになりましたか?」
「うん。もう帰りたい」
「あと二時間ほどの我慢です」
「……」
「少しは休まれましたでしょう。廣瀬社長の挨拶が始まりますので戻りますよ」
「……」
王子様ルックでもやっぱり村上は村上だ。