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マイバトラー
第1章 執事との出会い
「ここがあなたの部屋だから。どうせ聞いてると思うけど、隣があたしの部屋」
「ありがとうございます。ご用がありましたらいつでもお呼びください美緒お嬢様」
胸に手を当ててお辞儀する姿ですら完璧。
でも今はイライラしてるから、その完璧さも腹が立つ。
高校卒業したら、連絡さえ入れれば門限だってなくしてくれるって言った。
少しは自由になれるって思ってたのに!
「パパはあぁ言ってたけど、本当の理由はなに?」
「本当の、と言いますと?」
「監視するように言われた?あたしの行動報告するように言われたんでしょ?」
「いいえ。宗次郎様はそんなことは一言もおっしゃっていませんよ」
「どうだか。まぁ、あなたもパパに雇われてるんだら言うわけないよね」
……ただの八つ当たりだ。パパに言えないくせに、今の今会ったばかりの男にイライラをぶつけてる。
「確かに私は宗次郎様に雇われた身です。しかし、私がお仕えするのは貴女です。貴女が主(あるじ)です。主に嘘などつきません」
それなのに、そんな最低なあたしに笑みを向けて忠誠を語る。
こんな年下の女の、自分でいうのもなんだけど生意気な女の執事になんかなって。こんな態度を取られて。
どうしてそんな風に穏やかに美しく笑っていられるのか分からない。
それが彼の仕事だと言えばそれまでなんだろうけど。