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マイバトラー
第1章 執事との出会い
なんだか、この男といるとペースが乱れる。
あまりにも温度差がありすぎて一人で怒っているのが恥ずかしくなってくる。
「私はただ、貴女に仕えるようにとそう言われただけです」
もういい。どうせ理由が分かったところで今さらどうしようもないんだし。
「はいはい。もう、分かった。とりあえず!そこ!」
指を指す先にあるのは、あたしの部屋とこの部屋とを中から繋げている扉。
山岡さんがあたしの様子を確認しやすいようにと、それだけの為に作られたその扉。
理由が理由なだけに、その扉には鍵が作られていない。
「そこは使わないで!絶対!」
「かしこまりました。ですが、お嬢様にご用があるときはどうぞそちらからお呼びください」
「あたしも使わないから!じゃあ戻るから。今日はもう寝るだけだから、あなたももう休んで」
そう言い捨てて踵を返そうとした時だった。
「ーーちょ!なに……」
あたしの右手を取り、その手の甲にキスをした。