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呟きたい
第5章 振り返れ2012

 「なんですか、ココ」

 「あっ、しののーん♪」

 「雛谷先生……」

 「あ、そこはヒナヤンて呼んでくれないんですねぇ」

 「呼んだことないでしょう」

 「二人って初めてじゃないですか」

 「ですね。大晦日暇組ですか」

 「嫌な言い方しますねぇ」

 「今自分のこと独身宣言してしまいましたね」

 「しののんが妻子持ちだと、沢山の生徒が泣きますよ」

 「泣けばいいんですよ」

 「意外にサディストですね」

 「雛谷先生こそ……いつもと眼が違いますよ」

 「……」

 「……」

 「へへ~……」

 「何しに来たんでしたっけ。招待状のようなものが朝届いていたんですが」

 「しののんもか……」

 「新年の挨拶ですか?」

 「年越しまで飲みます?」

 「あと何時間ですか」

 「さぁ?」

 「……はぁ。ドタバタしていた年末でしたねぇ。進路決まった子もいれば、センターはこれからですし。雛谷先生も化学大変じゃないですか」

 「んー……過去問十年分は授業で終わらせたからね」

 「流石ですね」

 「お疲れ様ですねー、お互い」

 「あとは……一生徒、ですか?」

 「ふふ」

 「笑いますか」

 「いや……しののんも諦めてないんだなぁって」

 「やめて下さいよ」

 「笑ってますねぇ」

 「はは……もうすぐ年明けですね」

 「あっ、宿直室にワイン入ってましたよね」

 「なんで知ってるんですか」

 「類沢先生ですよー。こんな嫌みったらしいメモ置いていって」

 「え?」

 「遅くまでお疲れ様。良かったらどうぞ、って」

 「嫌みったらしいですねぇ」

 「ふふふ。しののんも嫌いですか」

 「嫌い、ではないな……あんまり深く踏み入りたくない人ですね」

 「なるほど」

 「新年またあの顔に世話になりますよ」

 「なるんですかぁ?」

 「精神安定剤でも貰いにね」

 「わぁあ。受験ストレスの話はやめましょう」

 「そろそろ時間ですね」

 「じゃ、乾ぱーい」

 「乾杯、皆様」

 「ホストも云いたいことがあるらしいですよぉ」

 「あっちは賑やかですかね」


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