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呟きたい
第8章 おかえりなさい

 ガラリ。
 「あれ? また誰か……」
 雅樹が声を上げる。
 類沢の目が止まる。
 波賀がつられて振り向いた。
 「ハーイ、みなさんお揃いで。ナミナミもいるし」
 「雛谷先生……」
 「ほっそいですね!」
 確かに少年体型だが。
 雛谷は雅樹を睨んだ。
 「失礼だなぁ。これでも鍛えているんだけど」
 「あっ。すみません」
 類沢は笑いを隠して口を押さえた。

 四人にもなると賑やかだ。
 波賀と雛谷が話に花を咲かせる間、雅樹と類沢は並んで外を見ていた。
 白く染まってくる景色。
 雪が降り始めたのだ。
 「久しぶりですね」
 「なにが?」
 「え。お風呂?」
 「そうだね……確かに」
 「そういえば、前から聞きたかったんですけど」
 「ナニ」
 雅樹が濡れた髪を掻きあげながら、尋ねる。
 「どうして先生の家の風呂あんなに広いんですか? アーティストみたいですよ」
 「……なんで雅樹までそういうこと言うかな」

 湯から上がり、寝具に着替える。
 「ナミナミ、腹筋凄くない?」
 「休日はボクシング行ってるんですよ」
 「ナニソレ!」
 類沢は自販機でコーヒーを買い、一気飲みして部屋に向かった。
 明日は帰ろう。
 出来たら、帰ろう。
 襖を開けて、部屋に入る足が止まる。
 「先に頂いてます」
 「いや、ナニしてるの」
 雛谷が膳を前に美味しそうに刺身を摘んでいる。
 いつの間に先に行ったんだ。
 波賀と話していたはずなのに。
 「鏡子さんがねー、部屋が足りないから相部屋にしろって」
 「波賀先生のところに行けば」
 「ナミナミは雅樹と一緒」
 「ああ……そう」
 雅樹と相部屋にならなくて良かったが、これはこれで寝づらい。
 類沢は溜め息を吐いた。
 膳の配置もあり、向かい合っての食事になる。
 栗鷹鏡子……
 わざとなのか。
 せめて悠が相部屋なら責められたのだが。
 広く言えば、雛谷も被害者。
 類沢は不満を刺身と共に飲み込んだ。
 「怖くはないの?」
 「なにがですか」
 「同じ部屋」
 「前までは怖かったですけど、類沢先生もう瑞希にしか興味ないじゃないですかー? だから、別に」
 「そう」
 「えっ、まさか……」
 「まさかじゃない」
 類沢は音を立てて箸を置いた。
 器を取りに来た鏡子は素知らぬ顔で恭しく持って行った。
 怒りも失せる。
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