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呟きたい
第8章 おかえりなさい
「最終的には解決したから良かったけど、校長から呼び出されないか結構怖かったね」
「え? 勝ったんですか?」
「……というか、殺しかけた」
「あはは、校長よりも警察を気にしましょうよ」
二人はクスクス笑い合った。
「あー……卒業まで、もう少し話したかったなぁ」
「謹慎終わったらね」
「それは云わないでくださいよ」
類沢は布団を引き寄せた。
「寝ますか?」
「話足りない?」
「どうせ足りません」
「ははははっ。そうだよ、だからおやすみ」
「むー。名残ってものが無いんだから」
それでも雛谷も布団に身を包んで眠りに入った。
夜中、目が覚めた類沢は部屋を出て旅館の中庭に足を運んだ。
月を見ながら煙草を吸っていると、背後から誰かがやって来た。
「類沢先生?」
「今度はアナタですか、篠田先生」
「蓮花に付き合って来たんですよ。そっちは一人旅?」
「そういえば、そうです」
違うともいえない。
篠田も浴衣姿で、煙草を手にしていた。
「忙しそうじゃないですか」
「まぁ、担任持ってますからね」
「瑞希は進路決まりましたか?」
「直接訊いてくださいよ」
「僕には教えませんから」
「教師ですよ」
「え?」
「教師です」
篠田が笑いながら煙を吐いた。
夜空に漂う。
「そう……教師か」
ついさっき雛谷と話したことを思い返す。
楽じゃない。
決して楽な仕事じゃない。
ただ、瑞希には似合っている気がした。
「予感なんですけどね。このまま帰ったら、もうこうして会うことはないんじゃないでしょうか」
「雛谷と同じことを云いますね」
「みんな感づいているんですよ」
「俺もです」
「雅樹?」
二人は木の影から現れた青年に目を向ける。
「あっ。立ち聞きじゃなくて……手洗いから帰る時二人が見えたんで」
「雅樹もそう思うの?」
「はい」
類沢は庭園の岩に腰掛け、脚を組んだ。
「それ、そんなに重要なことかな」
「重要ですよ」
「終わる訳じゃないですからね」
雅樹が篠田を見上げる。
「終わる訳じゃない?」
「多分また、こうして会いますよ」
「そうだね」
そんな気がする。
類沢は煙草をくわえ、頷いた。
「え? 勝ったんですか?」
「……というか、殺しかけた」
「あはは、校長よりも警察を気にしましょうよ」
二人はクスクス笑い合った。
「あー……卒業まで、もう少し話したかったなぁ」
「謹慎終わったらね」
「それは云わないでくださいよ」
類沢は布団を引き寄せた。
「寝ますか?」
「話足りない?」
「どうせ足りません」
「ははははっ。そうだよ、だからおやすみ」
「むー。名残ってものが無いんだから」
それでも雛谷も布団に身を包んで眠りに入った。
夜中、目が覚めた類沢は部屋を出て旅館の中庭に足を運んだ。
月を見ながら煙草を吸っていると、背後から誰かがやって来た。
「類沢先生?」
「今度はアナタですか、篠田先生」
「蓮花に付き合って来たんですよ。そっちは一人旅?」
「そういえば、そうです」
違うともいえない。
篠田も浴衣姿で、煙草を手にしていた。
「忙しそうじゃないですか」
「まぁ、担任持ってますからね」
「瑞希は進路決まりましたか?」
「直接訊いてくださいよ」
「僕には教えませんから」
「教師ですよ」
「え?」
「教師です」
篠田が笑いながら煙を吐いた。
夜空に漂う。
「そう……教師か」
ついさっき雛谷と話したことを思い返す。
楽じゃない。
決して楽な仕事じゃない。
ただ、瑞希には似合っている気がした。
「予感なんですけどね。このまま帰ったら、もうこうして会うことはないんじゃないでしょうか」
「雛谷と同じことを云いますね」
「みんな感づいているんですよ」
「俺もです」
「雅樹?」
二人は木の影から現れた青年に目を向ける。
「あっ。立ち聞きじゃなくて……手洗いから帰る時二人が見えたんで」
「雅樹もそう思うの?」
「はい」
類沢は庭園の岩に腰掛け、脚を組んだ。
「それ、そんなに重要なことかな」
「重要ですよ」
「終わる訳じゃないですからね」
雅樹が篠田を見上げる。
「終わる訳じゃない?」
「多分また、こうして会いますよ」
「そうだね」
そんな気がする。
類沢は煙草をくわえ、頷いた。