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ここで待ってるから。
第27章 螺旋の迷路。
『橙子さん、今日帰ったら楽しみにしてますよ。俺からの宿題。ちゃんと、おねだりして。でないと橙子さんの欲しいモノあげませんからね。』
夏は時々、意地悪になる。
それでも、もう後戻り出来ないくらい夏に入れ込んでいる。
もう、一時も離れられない。
離れるなんて考えられない。
「…夏。」
『はい?』
「私の事、離さないで。もっと、夏は私を縛って。抜け出せないよう、逃げ出さないように。お願い…。」
『…いいですよ?』
夏は携帯の向こうで、クスクス笑っている。
『橙子さんを逃がしはしませんよ。やっと、手に入れたんだから。ずっと、大好きだった。小さな頃からの大切な人…。』
「…うん。夏、ありがとう。私も大好き。」
『本当に可愛いなぁ…橙子さんは。橙子さんの顔を見て、一緒に逝きたい。』
「…夏。」
『俺も…。橙子さんは俺だけのモノだからね。』
夏と再度、帰りに落ち合う約束をして携帯電話を切る。
冷静になると、一気に恥ずかしさが襲いかかる。自分でしてしまった事に弱冠の後悔。
服を整え、化粧も直しトイレを出る。
夏の想いに私はちゃんと答えられてるのかな。
早く、会いたい。
「橙子、遅い。」
自分のデスクに戻ると、沙矢子がふくれている。自分だって、簡単に部長に捕まってたじゃん。
「ごめん。」
色々、私も言いたかったけど後ろめたい事をしていたので文句は飲み込む。
「石黒さんに何か言われた?」
「ん?んー。」
久々に石黒と話をして、ちょっとだけ違和感を感じた。
お互い、何か噛み合わない感情があったような気がする。それは、何だろう。
「…ちょっと話に聞いたんだけど、石黒さんがニューヨークに転勤になった時、小暮真理子も一緒だったって聞いてたよね?私達。」
「うん。小暮さん本人が言ってたんだもの。」
「そうよね。それが、本当は行ってなかったらしいの。」
「…え?」
沙矢子は私の側に寄る。
あの女、小暮真理子は私に石黒を返せと言ってきた。自分は石黒の女だと。結婚して一緒にニューヨークに行くんだと。
選ばれたのはあなたじゃない。二度と石黒に近付かないで。
あの女は、ざらつくように笑う。
不愉快な笑い方。
「どうやら、小暮真理子は石黒のストーカーになってたらしいのよ。」
夏は時々、意地悪になる。
それでも、もう後戻り出来ないくらい夏に入れ込んでいる。
もう、一時も離れられない。
離れるなんて考えられない。
「…夏。」
『はい?』
「私の事、離さないで。もっと、夏は私を縛って。抜け出せないよう、逃げ出さないように。お願い…。」
『…いいですよ?』
夏は携帯の向こうで、クスクス笑っている。
『橙子さんを逃がしはしませんよ。やっと、手に入れたんだから。ずっと、大好きだった。小さな頃からの大切な人…。』
「…うん。夏、ありがとう。私も大好き。」
『本当に可愛いなぁ…橙子さんは。橙子さんの顔を見て、一緒に逝きたい。』
「…夏。」
『俺も…。橙子さんは俺だけのモノだからね。』
夏と再度、帰りに落ち合う約束をして携帯電話を切る。
冷静になると、一気に恥ずかしさが襲いかかる。自分でしてしまった事に弱冠の後悔。
服を整え、化粧も直しトイレを出る。
夏の想いに私はちゃんと答えられてるのかな。
早く、会いたい。
「橙子、遅い。」
自分のデスクに戻ると、沙矢子がふくれている。自分だって、簡単に部長に捕まってたじゃん。
「ごめん。」
色々、私も言いたかったけど後ろめたい事をしていたので文句は飲み込む。
「石黒さんに何か言われた?」
「ん?んー。」
久々に石黒と話をして、ちょっとだけ違和感を感じた。
お互い、何か噛み合わない感情があったような気がする。それは、何だろう。
「…ちょっと話に聞いたんだけど、石黒さんがニューヨークに転勤になった時、小暮真理子も一緒だったって聞いてたよね?私達。」
「うん。小暮さん本人が言ってたんだもの。」
「そうよね。それが、本当は行ってなかったらしいの。」
「…え?」
沙矢子は私の側に寄る。
あの女、小暮真理子は私に石黒を返せと言ってきた。自分は石黒の女だと。結婚して一緒にニューヨークに行くんだと。
選ばれたのはあなたじゃない。二度と石黒に近付かないで。
あの女は、ざらつくように笑う。
不愉快な笑い方。
「どうやら、小暮真理子は石黒のストーカーになってたらしいのよ。」