この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ここで待ってるから。
第8章 眺めの良い場所。
 なんと言う子供みたいな発言。
 思わず、大笑いしてしまった。

「なんで笑うんですか。本気ですよ、俺。」

 夏は不貞腐れて、冷蔵庫から缶チューハイを一本取り出し自分の部屋に入っていった。
 可哀想な事をしたかな?
 そんな事を思いながら、明日の用意をはじめる。


 朝一の新幹線に乗り、在来線にバスで約四時間半。長旅の中、なんとか十時過ぎに実家に着く。

「おかえり、橙子。夏。披露宴は何時から?」

「えっとー、夕方五時からだから三時に出れば余裕。」

 私は自分の部屋に荷物を持っていく。母は玄関脇の和室を開け夏の荷物を待つ。

「夏は今日は和室の客間ね。」

「はーい。あ、おばさん。俺が橙子さん送るよ。車、貸してね。」

 山の中のど田舎で、街に出るには車で一時間半。街と言っても駅前だけ。
 何十年と変わらないな。
 変わったのは自分の方。

 自分の部屋は多少、余計な荷物があるけどほぼ同じ。
 この部屋で高校卒業まで生活をしていた。
 今日、結婚するのは新郎新婦共に高校までずっと一緒だった、友人。
 甘酸っぱい思い出が…新郎に至っては、私の初めての相手だったりする。
 今回の披露宴も断わろうとしたけど、そんな理由で断るのも大人気ないなと。

 簡単に荷物を解き、リビングに向かう。
 大きなコタツに既に夏がはいって、お茶を飲んでいる。私も夏の向かい側に入り、手土産のお菓子に手を伸ばす。

「…ねぇ、橙子。今日、結婚するのって友恵ちゃんと祐希君なの?」

 母は台所で私に声をかけてくる。

「うん。なんで?」

「あんた、祐希君と一時、付き合ってなかったっけ?」

 …胸の奥がチリっと痛む。
 夏が私をみつめる。

「…付き合ったけど、一か月続かなかった。」

 高校二年の春。
 小さな頃から一緒だった祐希に告白され、かと言っても周りにデートする場も無くお互いの家に行って、勉強したり音楽聴いたり。
 
「良く家には来てたよね?さて、ちょっと町内会の集まりがあるから、行ってくね。昼までには帰ってくるから。」

 私の分のお茶を淹れ、母は出て行った。
 また、何故夏と二人きりになる時に爆弾投下するわけ?

「橙子さん、元彼の結婚式なんだ?」

 絶対、突っ込んでくると思った。

「…そうだけど?」

「…橙子さんの初めての相手?」

 小さく溜息をつく。
/205ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ