この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ここで待ってるから。
第8章 眺めの良い場所。
守の真意がわからない。
私が蓋をしている?
キツそうに生きてる?
「橙子は今、幸せかい?」
前に夏にも聞かれた。
「…幸せよ?」
何故、そんなこと聞くの?
守は私の頭をポンポンと子供をあやすように軽く叩く。
「橙子は時々、一人で耐える癖があるから心配なんだよ。昔から、しっかりしていたけど冷静でドライで。でも、寂しがりなのにそれを訴えない。小さな頃から一緒だったから、尚更心配になる。」
私はそんな生き物だったのね。
「まぁ、また年末年始来るんだろう?あかりも子供が産まれてるだろうから、夏と来いよな。」
守は私と夏を置いて部屋を出る。
ベッドで眠る夏の寝息を感じる。
指で顔から顎をなぞる。少しあいた唇に触れる。髪を梳いて撫でる。
私もベッドにうつ伏せ、静かに目を閉じる。
「…橙子さん。橙子さん。」
肩を揺らされ、ボーッと目をさます。薄明かりの中、ベッドの上に夏が上半身を起こしていた。私は、ベッドの縁に寄りかかっていた。
「…こっち、来てよ。」
時計を見ると、深夜零時過ぎ。結構、がっつり寝ていたんだ。
夏が布団をあけ、中に誘う。肩口の寒さに負け中に入る。…ぽかぽかしていて、暖かいな。
「ごめんね、橙子さん。」
夏の腕の中にすっぽりと収まる。
「…何が?」
「…みんなの前で…あんな事。でも、我慢出来なかったんだ。」
わかってる。謝らないで。
夏の背中に腕を回す。胸に顔を埋め、首を横に振る。
「…どう頑張っても、橙子さんは深山さんの物なのにね。」
その言葉にハッとする。
…なんだろう、この気持ち。
「明日には、あっちに帰るんだよね。そしたら、また深山さんのとこに行っちゃうんだよね?俺がどんなに橙子さんを求めても、心も身体も深山さんの物になっちゃうんだよね?」
胸が痛い。
駄目。しっかり、蓋をして。しっかり、カギをして。
「…うん。」
顔を上げられず、夏の心臓の音を聞く。
「橙子さん…。」
夏の唇が、おでこに触れる。
「おやすみなさい。」
私の心を閉じ込めた。
翌朝、荷物を整え親戚達に別れを告げ実家を後にする。父も母も、山盛り手土産をもたせてくれた。
また、半日かけて都会の部屋に帰る。
明日からまた、いつもの日常がはじまる。
私が蓋をしている?
キツそうに生きてる?
「橙子は今、幸せかい?」
前に夏にも聞かれた。
「…幸せよ?」
何故、そんなこと聞くの?
守は私の頭をポンポンと子供をあやすように軽く叩く。
「橙子は時々、一人で耐える癖があるから心配なんだよ。昔から、しっかりしていたけど冷静でドライで。でも、寂しがりなのにそれを訴えない。小さな頃から一緒だったから、尚更心配になる。」
私はそんな生き物だったのね。
「まぁ、また年末年始来るんだろう?あかりも子供が産まれてるだろうから、夏と来いよな。」
守は私と夏を置いて部屋を出る。
ベッドで眠る夏の寝息を感じる。
指で顔から顎をなぞる。少しあいた唇に触れる。髪を梳いて撫でる。
私もベッドにうつ伏せ、静かに目を閉じる。
「…橙子さん。橙子さん。」
肩を揺らされ、ボーッと目をさます。薄明かりの中、ベッドの上に夏が上半身を起こしていた。私は、ベッドの縁に寄りかかっていた。
「…こっち、来てよ。」
時計を見ると、深夜零時過ぎ。結構、がっつり寝ていたんだ。
夏が布団をあけ、中に誘う。肩口の寒さに負け中に入る。…ぽかぽかしていて、暖かいな。
「ごめんね、橙子さん。」
夏の腕の中にすっぽりと収まる。
「…何が?」
「…みんなの前で…あんな事。でも、我慢出来なかったんだ。」
わかってる。謝らないで。
夏の背中に腕を回す。胸に顔を埋め、首を横に振る。
「…どう頑張っても、橙子さんは深山さんの物なのにね。」
その言葉にハッとする。
…なんだろう、この気持ち。
「明日には、あっちに帰るんだよね。そしたら、また深山さんのとこに行っちゃうんだよね?俺がどんなに橙子さんを求めても、心も身体も深山さんの物になっちゃうんだよね?」
胸が痛い。
駄目。しっかり、蓋をして。しっかり、カギをして。
「…うん。」
顔を上げられず、夏の心臓の音を聞く。
「橙子さん…。」
夏の唇が、おでこに触れる。
「おやすみなさい。」
私の心を閉じ込めた。
翌朝、荷物を整え親戚達に別れを告げ実家を後にする。父も母も、山盛り手土産をもたせてくれた。
また、半日かけて都会の部屋に帰る。
明日からまた、いつもの日常がはじまる。