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ここで待ってるから。
第11章 君が好き。
「まだ…。逝ったけど、まだ、したりない。」

 夏の大きなモノがさらに、大きくなるのを感じる。その感覚に深く息を吐く。

「…でも。」

 そっと、身体が離れ私の中から夏が抜かれる。その瞬間はいつも寂しく、せつない。

「お腹すいた。」

 夏を見ると、頬を薄ら赤くして微笑んでいる。
 そっと、頬に手を添えるとうっとりと目を閉じる。

「なんで、こんなに発情してるの?」

「…一日中、橙子さんの事を考えてた。どんな、仕事してるのか。どんな、会話をして笑ったり、悩んだり。深山さんと会ったりするのかな?少しは、まだ好きだったり…。」

 少しだけはにかむ。

 クスッ、と笑う。

「で、いつのまにか頭の中の橙子さんは、深山さんや遠山さんにあんな事やこんな事されて、悶えてないか?我慢できずに、オフィスやトイレでヤってないか?とか、考えてしまうんです。」

「そ、そんな事するわけ…。」

「うん。わかってますよ。…まだ、ちょっと自信無いんでしょうね。」

 私の手に夏の手が重なる。
 それは温かく、優しい。

「私は、夏が好き。」

「…うん。」

 夏の顔が近づき、瞳を覗きこまれる。
 その、瞳にどんどん吸い込まれていく。

「俺も、橙子さん好き。」

 思わず、クスッと笑う。

 何度も、こうやってお互いの気持ちを確認する。言葉にしてみれば、たった二文字。それでも、何度言っても言い足りない。

 溢れる想いを込めて。

「夏、好きだよ。」



 シャワーを浴びて、夕食をとる。
 トマトのサラダに、イカと里芋の煮物。鮭の西京焼きを用意して、テレビの話やお互いの会社の話で盛り上がる。

 なんて事ない日常に夏がいるだけで、楽しく過ごせる。

 ピンポーン。

 今は八時過ぎ。新聞の集金かと、インターフォンに出る。

「どちら様?」

『とーこさーん!!うわぁーん!!!』

 大泣きの胡桃ちゃんだった。

 とりあえず、部屋に入れる。
 ラフな格好のイメージだったけど、今日は髪を綺麗にセットして、淡いピンクのワンピース。ベージュのコートにブランド物のバッグ。

 部屋に上がるなり、私に抱きつき泣き続ける。
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