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セルフヌード
第5章 少女と被虐
総子もこんな気持ちだったのだろうか。
一週間前の昼下がりの一部終始が、にわかになつみの脳裏をよぎった。
美優が出て行き、広栄が帰っていった後も、責め苦の残滓がなつみの眠りを妨げた。
夜が明けて、スタジオ撮影の代理を総子に頼んだ。
シャワーを浴びて身なりを整え、数時間振りにひと息つけたところで、お節介な恩師が見舞いと称して、スタジオからなつみの家を訪った。
ティーカップを持ち上げたはずみに、ボレロの姫袖から手首の縄跡が覗いた。ひるがえりやすいシフォンのフリルスカートをとり合わせたのも補翼した。
…──前から気になっていたことがあるの。
総子は力ずくになつみから洋服を脱がせていった。女の身体に欲情しないという芸術家は、他意ない手つきでなつみを下着姿にまで暴き、刹那動揺を見せたと思うや、警察に相談しろだの医者に見せろだの泣き喚いた。
どうやって総子を宥めたかは忘れてしまった。
薬は、洋服に染みたサシェのフレグランスを殺す。なるべく塗らないようにしていた。
そうした習慣も総子がとりあうことはなかった。
なつみは手当てを受けながら、奇特な涙を笑い飛ばした。